2025年3月8日、ホテルマリターレ創世久留米にて「第24回有明眼科懇話会」が開催されました。

一般講演では、佐賀大学の山下先生より「網膜剥離眼のElipsoid zoneの経時的変化評価プログラムの試作」、黒木先生より「視神経乳頭領域における血管径別血流速度の定量的解析プログラムの試作」というテーマでご講演いただきました。
山下先生のご講演では、SD-OCTを用いて黄斑中心部のEZ信号強度を分類し、その割合の経時的変化を観察する試みについてご紹介いただきました。従来のOCTよりも高い分解能が得られ、網膜外層構造の新たな評価ツールとして大変興味深い内容でした。

また、黒木先生のご講演では、VISTAとアンモナイトスキャンをOCTAと併用し、視神経乳頭領域における血管径別血流速度の定量的解析プログラムを作成した研究について発表がありました。より詳細な血管血流評価が可能となることで、今後の診断・治療の発展が期待される内容でした。

久留米からは、藤堂先生より「網膜静脈分枝閉塞症に対するファリシマブとアフリベルセプト治療成績の比較」、加藤先生より「眼感染症個別化医療への挑戦」についてご発表いただきました。


特に、硝子体注射に伴う重篤な合併症である感染性眼内炎に関するEBMの知見を深める貴重な発表であり、複数の検査を組み合わせてそれぞれのデメリットを補いながら診療を進めることの重要性を改めて認識する機会となりました。
特別講演1では、島根大学の兒玉達夫准教授より「前眼部腫瘍性病変の病理診断と治療」というタイトルでご講演いただきました。

悪性・良性の鑑別ポイントを、多種多様な臨床画像を用いて分かりやすく解説していただき、病理診断の重要性や治療選択について包括的に学ぶことができました。大変有意義な講演でした。
特別講演2では、日本大学の中静裕之教授より「ヨード剤による術後眼内炎の予防と治療」というタイトルでご講演いただきました。

周術期のヨウ素系消毒薬の適切な使用が、術後細菌性眼内炎の予防に有効であること、さらに硝子体注射における眼内炎予防として用いることで、予防的抗菌薬投与が不要となる可能性についてご紹介いただきました。最後に、ヨードを用いた眼内炎治療が簡便かつ有効に眼内炎を制御できる可能性についてもお話しいただきました。貴重なご講演、誠にありがとうございました。

今回の研究会では、一般講演を含め活発な議論が行われ、大変有意義な会となりました。有明地区の若手の先生方のレベルが年々向上していることを実感しています。今後もさまざまな施設の方々と情報交換を続けながら、有明地区の眼科医療のさらなる発展に貢献していければと思います。
(文責:木原崇博)

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